今回は「GO PREMIUMはなぜ“日本交通だけの特権”なのか?」を書こうと思います。
【GO PREMIUMとは何か?】
GO PREMIUMは、GOアプリ内で提供されている「高級配車サービス」です。
アプリ上では通常のタクシーのように見えますが、その正体は都市型ハイヤー。行灯もスーパーサインも付いておらず、外見からもタクシーとは明らかに異なります。
つまり、GO PREMIUMはタクシーではなく、「ハイヤー」をGOアプリで呼べるサービスなのです。
【GOは“タクシー配車アプリ”のはずでは?】
本来、GOは「タクシー配車アプリ」として世に出ました。
そこにハイヤーが登場するという構造は、業界関係者にとって違和感を覚えるポイントでもあります。
なぜなら、ハイヤーはタクシーとは別の制度・ルールで運行されている車両であり、その取扱いには厳格な区別が必要だからです。
【GOと日本交通の蜜月関係】
その背景には、GOと日本交通との深い関係があります。
GOの前身である「JapanTaxi」は、日本交通の元社長が立ち上げた企業であり、開発当初から日本交通がモデル事業者として深く関わってきました。
GO PREMIUMに日本交通の車両が独占的に使われるのも、もはや“自然な流れ”となっているのです。
【中小事業者は参入不可能な“都市型ハイヤー”】
都市型ハイヤーには、極めて高い参入ハードルがあります。
・完全予約制
・流し営業禁止
・営業区域や管理体制の厳格な要件
・営業許可取得には行政との調整が必要
これにより、中小のタクシー事業者がGO PREMIUMに参加することはほぼ不可能です。
現状では、日本交通だけがGO PREMIUMを実質的に運営している状態にあります。
【GO PREMIUMの料金設定は?】
料金もまた、タクシーとは一線を画します。
GO PREMIUMでは「1時間・15kmまでで11,000円」という料金設定。
これは、通常のタクシーで同程度の距離・時間を走った場合(6,000〜7,000円)に比べて約2倍の価格です。
さらに、「15km以内」という距離制限があるため、自由度の高いハイヤーと比べてもやや中途半端。
結果として、通常の時間制タクシー料金よりも割高になるケースもあります。
【制度上“当たり前”の機能を「新機能」としてPR】
最近では、GOがGO PREMIUMに「貸切機能を新たに追加」と発表しました。
しかしこれは制度的に見ると、かなり“ズレた話”です。
なぜなら、ハイヤーというものはもともと「貸切」が本質。
それを「新機能」として紹介されても、「水に濡れる機能が付いた水」と言っているようなもので、制度の本質を知らない利用者への“言葉遊び”のようにも見えてしまいます。
【見た目はスマート、中身は“特権”構造?】
GO PREMIUMは「誰でも呼べる高級車両」という触れ込みですが、実態は限られた事業者しか運行できない制度上の“特権サービス”。
高度な許可と体制が求められるため、高収益案件は日本交通だけが請け負い、GOとの強固な関係がますます際立つ構造となっています。
利用者から見れば便利なサービスでも、その裏には「制度の抜け道」とも言える仕組みが巧妙に張り巡らされているのです。
【制度とマーケティングの“隙間”に生まれた矛盾】
GO PREMIUMの仕組みを俯瞰して見ると、制度の建前と、マーケティング上の表現とのギャップが随所に見受けられます。
・ハイヤーなのに「新たに貸切機能追加」と謳う
・高額な料金設定だが選択肢はほぼ日本交通一択
・制度上は限定的な運行許可を要するが、アプリ上は誰でも呼べる“風”に見える
こうした矛盾の積み重ねが、業界内外でささやかれる“GOと日本交通の癒着”という見方を強化しているのかもしれません。
【見た目の便利さだけでなく、構造にも目を向けて】
GO PREMIUMは、表面的には「洗練されたサービス」として支持されている一方で、その実態は制度と企業の利害が巧みに噛み合った“閉ざされたマーケット”。
アプリで便利に呼べる車の裏側にある、業界の構造的な偏りに、私たちはもっと目を向ける必要があるのではないでしょうか。