東京特別区・武三地区──タクシー初乗り、960m時代へ? 縮む距離と膨らむ運賃の話

タクシー料金

東京のタクシー料金は、2022年11月14日に初乗り420円から500円へ値上げされ、コロナ明けと重なってタクシーバブル到来!
あれから約3年、再び運賃改定の動きが出ています。今回のポイントは単純な値上げではなく、「初乗り距離の短縮」という形。見かけは変わらないのに、メーターの鳴るタイミングが早くなる…まさにサイレント値上げの予感です。


【前回改定の流れ】

東京特別区・武三地区(23区+武蔵野市・三鷹市)のタクシー運賃は、2022年11月14日に改定され、初乗り1.096kmで500円が標準になりました。

改定プロセスは以下の通りです:

  • 申請受付:2021年12月24日〜2022年3月23日
  • 審査開始:2022年6月頃
  • 結果・施行:2022年11月14日

要するに、約11か月かけて見かけは据え置き、中身だけ値上げという形で静かに実施されたのです。


【京都式「距離短縮型」が東京にも?】

注目すべきは、東京無線グループの「代々木自動車」が提出した運賃申請です。
その内容は、初乗り距離を0.96kmに短縮、料金は500円据え置き
2025年8月に改定された京都の運賃制度とほぼ同じ構造です。


【京都では既に「0.9kmで500円」】

2025年8月、京都市域では複数のタクシー会社が「初乗り0.9kmで500円」という新料金を導入しました。
これにより、短距離移動でも加算が早くなり、料金がかさみやすくなる構造が完成。
東京も追随する形で、同じ「距離だけ縮めて料金据え置き」の改定を模索している模様です。


【見かけは変わらず、でも加算は加速】

距離短縮型の改定は一見値上げに見えません。「500円で乗れる」と書かれれば、多くの人は高くなっていないと思うでしょう。
しかし、実際にはメーター加算が早まるため、同じ距離でも追加料金に早く到達します。

  • 現行:初乗り1.096km
  • 申請案:初乗り0.96km → 約13%短縮
    結果、500円+加算100円になるタイミングが早まるわけです。

【今回の審査スケジュール】

関東運輸局は2025年6月12日付で審査開始を公表。
前回と同様の流れを想定すると、スケジュールは以下の通り:

内容時期
審査開始2025年6月12日(公表済)
結果公表2025年10月〜11月頃
新運賃施行2025年11月〜12月頃

年末年始の需要期を見据えた「忘年会値上げ」の可能性も大。……笑


【結局いくらになるのか?】

代々木自動車の申請案が通ると仮定すると:

  • 初乗り:0.96kmで500円
  • 加算距離:約255〜275mで100円
  • 時間加算:約90〜105秒で100円

つまり、「初乗りワンコイン」は維持されるものの、走れる距離は確実に減るイメージです。


【見えにくい圧迫、でも確実に感じる】

「500円で乗れる」と思っていても、すぐに加算が始まる。
距離が縮まっただけで、財布への圧迫感は確実に増すわけです。
東京もこのまま進めば、京都式ステルス値上げモデルに移行する可能性が高いでしょう。


【逆パターンはまず無理】

「初乗り距離を延ばして料金も上げる」なんて方法は、即「値上げ」と見なされ反発を招くため実務上ほぼ採用されません。
例:初乗り1.5kmで600円 → 高くなった印象しか残らず、長距離客は逆にお得になり事業者収益にブレーキ。

だからこそ、「金額据え置き、距離削減」という方式が採られやすく、まさに見えない値上げの最適解です。