タクシー業界で話題の「配車アプリ」。ニュースでは「スマホ一つでラクラク!」と宣伝されますが、実際の利用率はどれくらいなのでしょうか?
国交省の資料によると、全国平均のアプリ利用率はわずか23.40%。数字だけ見ると、ニュースやSNSの印象とは少しギャップがあります。今回は、この数字の裏側と現場での意味を整理してみます。
【調査ごとにバラつく利用率】
いくつかの調査結果を比較すると、利用率には大きな差があります。
- ICT総研(2024年4月):20.4%
- MM総研(2023年6月):月1回以上利用者は41.0%
- J-net(中小企業基盤整備機構、1年前):7.5%
同じ「配車アプリ利用率」でも、調査方法や定義によって数字がまるで変わるのが面白いところ。
「使ったことがある人」「月1回でも利用した人」などを含めると、数字は簡単に膨らみます。現場感覚とは少しズレがあるかもしれません。
【本当に知りたいのはヘビーユーザー】
タクシー界隈の乗務員やタクシー会社が知りたいのは、偶然アプリで呼ばれた人ではなく、『タクシーに乗るならアプリ』と思っているヘビーユーザーの割合です。
- アプリユーザーが多ければ、流し営業よりアプリ狙いの方が効率的
- 無線狙いと同じ理屈だが、アプリは「どこに集中するか」が分かりにくい
- 昔は無線狙いで付け待ちや流しをしていたが、今はアプリ狙いの営業になるかも?
現場での稼ぎ方に直結する重要な数字です。
【国交省資料の23.40%とは?】
2024年6月の国交省「タクシー及び日本版ライドシェアにおける運賃・料金の多様化に関する検討会」の資料によると、配車割合は以下の通りです。
- 流し利用:約60%
- 電話配車(無線):約16%
- 配車アプリ:23.4%
つまり、10回乗車したうち2〜3回はアプリからの配車。
偶然呼ばれるケースも含まれますが、感覚的には乗務していても「遠からず」な数字です。知らんけど(笑)。
【現場感覚とのズレ】
- コロナ明けでアプリ配車は確実に増加
- 新人乗務員にとっては、アプリ狙いで効率よく稼げる環境
- ただし会社によっては新人に無線やアプリを取らせない場合も
数字だけで判断すると「アプリ多いな」と思えますが、場所や時間帯によって偏りがあるため、必ずしも稼ぎやすいとは限りません。
【纏めると】
配車アプリ利用率23.40%は決して高くないものの、現場への影響力は十分にある数字。
タクシー会社や乗務員は、流し営業とアプリ営業のバランスを見極めつつ働き方を考える必要があります。
そして何より、数字だけを鵜呑みにすると「アプリ万能説」に踊らされるので注意。現場感覚とのギャップを理解することが、これからのタクシー営業には不可欠です。