ライドシェアと一口に言っても、日本では運営主体や運転手の契約形態によって扱いが大きく異なります。民間主体の「日本型ライドシェア」と自治体主体の「公共ライドシェア」では、一見すると同じサービスのように見えても、法律上の扱いや雇用・業務委託のルールには大きな差があります。
なぜ、公共ライドシェアでは業務委託が認められるのに、日本型ライドシェアでは国会で否決されたのか。その背景には、公的主体としての責任の所在や、ドラーバーが公務員・準公務員扱いになってしまう雇用上の制約などが関わっています。今回は、この違いをわかりやすく整理してみようと思います。
【公共ライドシェアと日本型ライドシェアの違い】
ライドシェアと一口に言っても、運営主体や運転手の契約形態で大きく分かれます。特に日本では「公共ライドシェア」と「日本型ライドシェア」で扱いが異なるため、一見すると不思議な構造になっています。
【公共ライドシェアの仕組み】
公共ライドシェアは、自治体が制度の主体になります。サービス全体の設計や監督、安全基準の設定は自治体の責任です。一方、運行管理や運転手の手配はタクシー会社など民間事業者に委託され、運転手との契約も業務委託契約となります。
ここでポイントになるのは、自治体が直接運転手を雇用すると、公務員や準公務員扱いになってしまう可能性があることです。給与体系や労務管理、安全管理の面で複雑さが増すため、直接雇用は避けられる傾向があります。
【日本型ライドシェアとの違い】
日本型ライドシェアは民間事業者が主体です。運転手の雇用形態は国会での議論対象となり、業務委託契約は安全面や労務面の理由から認められていません。民間主体のため、自治体のような公的責任の担保がないことが理由です。
【国会では否決された業務委託が、なぜ公共ライドシェアではOKなのか】
ここがちょっとややこしいところです。日本型ライドシェアでは、業務委託契約で運転手を扱うと法的に認められない一方で、公共ライドシェアでは業務委託契約が可能です。その理由は、公共ライドシェアの運行全体の安全や料金制度、制度設計を自治体が監督するためです。
つまり、運転手は民間委託ですが、公的主体の責任下にあるため法律上も問題になりにくいのです。
【纏めると】
- 公共ライドシェア
- 自治体主体
- 運転手は業務委託契約
- 法的・安全面は自治体が監督
- 直接雇用すると公務員・準公務員扱いになるため避けられる
- 日本型ライドシェア
- 民間事業者主体
- 運転手の業務委託契約は国会で否決
- 雇用形態には制限あり
同じライドシェアでも、主体が公的か民間かで扱いが変わるため、見た目や運行実態は似ていても法律上の扱いが異なる、ちょっとしたダブルスタンダードのような状況になっています。