仙台市で実証実験として行われているライドシェアが、国やメディアから「マッチング率96%」という高い成果として発表されました。これを聞くと「仙台のタクシー不足が一気に解消されたのでは?」と思いがちですが、実際の数字を細かく見ていくと、その印象とはずいぶん違います。果たして“数字のマジック”とはどんなカラクリなのでしょうか。
【ライドシェア実証の条件と期間】
仙台市でのライドシェアは2023年から試験的に導入されました。対象となるのは、
- 金曜日の16時台〜19時台
- 土曜日の0時台〜3時台
という、タクシー需要が最も集中する時間帯だけです。
実施期間は2024年6月1日から2025年5月25日までで、東北運輸局によると、この間に延べ551台が稼働し、合計2,126回の利用があったとのことです。
【1台あたりの配車回数は1回程度】
対象期間中の金曜・土曜は合計105日。配備された車両は金曜25台、土曜15台で、合計すると延べ2,095台分の稼働日数になります。
この数字で割り算すると…
1台あたり平均1.015回の配車。
つまり、多くの車両は1日に1回しか配車されていないのが実態です。
表面的には「1日あたり20回前後の乗車が追加」と見えますが、果たしてこれだけで仙台市のタクシー不足が解消されたと胸を張れるのでしょうか?
【マッチング率96%のカラクリ】
東北運輸局は「マッチング率が96〜100%に達した」と発表しています。
導入前は76〜80%程度だったと考えられ、確かに20ポイント前後の改善があったことは事実です。
ただし、この数値はライドシェアが行われている“特定の時間帯と地域”に限定されています。
仙台全体の需給が改善したというより、「混雑が集中する時間帯に一部の不足が緩和された」と見る方が現実的でしょう。
【ドライバーの視点から見た実態】
日本型ライドシェアは海外の歩合制とは異なり、ドライバーに時給や時間保証が支払われる仕組みです。
そのため、配車が少なくても収入はある程度保証されますが、実際には「1日に1回しか走らない」というケースも珍しくなく、待機時間の長さに不満を感じるドライバーもいるようです。(@_@)
【数字は立派でも実態は限定的】
「マッチング率96%」という数字だけを見れば、タクシー不足が一気に解消されたように思えます。
しかし実際は、1台につき1回程度の限定的な稼働であり、仙台市全体の課題が解決されたとは言い難い状況です。
結局のところ、この成果は「条件を絞った時間帯に数字が改善した」という話にすぎません。
市民の体感として「タクシーがつかまりやすくなった」と感じるかどうかは、まだ検証が必要です。
立派な数字の陰にはカラクリがある。まさに“数字のマジック”と言えるでしょう。知らんけど(笑)