『問題なし』だったはずでも続かなかった『迎車専用モード』・・・・GOが『連続配車モード』へ舵を切ったワケ

配車アプリ

今回は「『問題なし』だったはずでも続かなかった『迎車専用モード』・・・・GOが『連続配車モード』へ舵を切ったワケ」を書こうと思います。

とりま、詳細は以前に書いた事が有るので、今回は『迎車専用モード』と『連続配車モード』を俯瞰して見て見たいと思います。

配車アプリ「GO」が導入した「迎車専用モード」、この仕組みは、乗務員が流し営業を止め、アプリからの迎車依頼だけを受けるという一見スマートな運用でした。

国交省も「問題なし」との公式見解を示し、制度的な障壁はなかったはずでした。

しかし現実には、現場で混乱やトラブルが多発し、導入から間もなく「連続配車モード」への移行が進められることになりました。(笑)

制度と実務がズレたとき、いったい何が起こるのか?。その経緯と、新たな運用である連続配車モードの全容を振り返ろうと思います。

【迎車専用モードとは?】

迎車専用モードとは、タクシー乗務員がGOアプリの設定で「迎車のみを受け付ける」モードにする機能です。

このモードに入ると、流し営業を停止し、GOアプリからの配車依頼だけを受けるようになります。

導入当初、多くの乗務員は「迎車板」を車内のダッシュボードに掲げた上で、スーパーサインは「空車」にしたまま流していました。

一見して通常の空車と見える状態で走っていたため、迎車中にもかかわらず一般客から手を挙げられる場面が多発した様です。・・・・国会での発言で草。

【「問題なし」とした国交省の見解】

この運用については、国土交通省・自動車局旅客課長が「問題なし」との見解を国会等で示しました。

ただしその前提には、迎車板が掲出されていれば、たとえスーパーサインが空車表示でも迎車中と見なされるという従来からの制度解釈がありました。

つまり、GOアプリの迎車専用モードで空車表示のまま走行していても、ダッシュボード等に「迎車板」が掲げられていれば問題ないという理屈です。・・・・国会での発言で(笑)

制度的にはこのような解釈が成立していたわけですが、一般の利用者にとって「迎車板」が視認しにくい・理解されにくいという実務上のギャップがありました。

【誤乗車とトラブルが続出】

迎車板が掲げられていても、外から見えるのは「空車」のサイン、乗客の目には「乗れる車」が走っているようにしか映らず、手を挙げて止めようとして「配車中なので乗れません」と断られ。その結果、「乗車拒否だ」と誤解されるトラブルが相次いだ様です。

一部の乗務員からは「毎日のように説明や謝罪をしなければならず、ストレスが大きい」といった声も聞かれていた」様です。‥‥・自分の勤務する会社はどちらも採用していないのでそこのところは?で草です。

【制度は白でも現場はグレー】

国交省はあくまで「迎車板があるなら問題ない」としています。しかし現実には、「空車なのに乗れない」という矛盾した表示が、利用者に誤解と不信感を与える結果になっていました。

制度的には「白」でも、運用の実情では「グレー」に限りなく近い・・・・・迎車専用モードは、そんな曖昧な領域での運用だったのです。

【制度は白でも現場はグレー】

【制度は白でも現場はグレー】

そうした問題を踏まえてGOが次に打ち出したのが、「連続配車モード」です。

このモードでは、乗せている乗客を目的地に送る前に、すでに次の配車依頼を自動的に受け付ける仕組みになっています。

迎車中であっても、アプリと連動してスーパーサインが「予約」や「実車」表示になり、空車表示の誤解や誤乗車を防止できる設計です。操作方法等は以前に書いているので省きますが・・・

【迎車専用モードとの違いと優位点】

項目                連続配車モード                   迎車専用モード

配車方式           次の配車を自動で連続的に受ける      自分のエリアで迎車注文を待つ

自動配車の有無   有(降車前に次の注文を受ける)      無(降車後に手動で注文を検索)

稼働効率           高い(空車・待機時間が少ない)      普通(空車時間が多め)

表示・表示切替    アプリ連動で「予約」/「実車」表示      「空車」表示のまま迎車板で判断

誤乗車リスク        極めて低い          高い(空車表示で止められる誤解多数)

乗務員の負担      少ない(説明・断り不要)         多い(トラブル対応や説明が必要)

国交省の見解      特に明示なし                   迎車板があれば問題なしと国交省

優位点         ・空車巡回が不要             ・望む配車が選びやすい

・効率・安全性が高い               ・自由度が高い

【エリア別の実装状況】

機能                 実装状況・導入エリア

迎車専用モード     GOサービス対応全エリアで導入可能。ただし導入・継続は各事業者次第。空車表示+迎車板という運用については、縮小または見直しが進む地域もあり。

連続配車モード     GOアプリの「複数台配車機能」や「AI予約」機能と一体で提供されており、全国45都道府県(東京・神奈川・北海道・愛知・福岡など主要都市圏)で既に導入・展開済み。東京23区・埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪・福岡・北海道・宮城などの主要都市圏では安定提供中。

【迎車専用モードと連続配車モードは会社の判断】

GOアプリの配車モードの切り替えは、ドライバー個人の選択ではなく、所属するタクシー会社の判断によって決まります。

例えば大阪では、いまだに迎車専用モードのみで運用している会社も存在します。これは「GO」側がモード変更を強制しているわけではなく、各会社の運用方針や契約内容、乗務員教育の状況によって差が生じているためです。

迎車専用モードの方が慣れている、あるいは新人が多い会社では、休憩や配車数のコントロールがしやすいとして継続しているケースがあります。一方で、効率や稼働率向上を狙い連続配車モードに切り替えている会社もあります。

【まとめ】

迎車専用モードは国交省から「問題なし」との見解が出ていたものの、現場では迎車板の視認性や誤乗車などの問題が起き続け、運用上は「グレーゾーン」であることが明らかになりました。

それを受けてGOが推進したのが、配車状況と連動したスーパーサイン表示で誤乗車リスクを減らす「連続配車モード」です。

ただし、モードの切り替えは会社単位の判断によるため、大阪など一部地域では迎車専用モードがまだ残っている状況もあります。

制度と実務のギャップ、地域・会社ごとの違い・・・・・これらはタクシー配車アプリの進化において今後も注目すべきポイントと言えるでしょうネ。